みのる俳句集 13
寝ころびて足所在なし日向ぼこ
越冬の湖に立つ虹白鳥来
レンブラントの描く大空白鳥来
ヌートリア泳ぎ出す湖寒夕焼
全天のその一角の雪嶺かな
冬麗を一筋汚す飛行雲
降る雪を見て目休めをしてゐたる
雪嶺蒼し太郎次郎の深眠り
スプーンの凸面にある寒さかな
枯蓮の刺さりて石のごとき水
弟は料理好きにて根深汁
玉子酒作りし臭ひ書斎まで
新雪をかくまで人の蹂躙す
如月の飲み残したる水薬
蕗のたう土鈴のごとく弄び
春寒し人の流れを横切りて
青年の革靴春泥に汚れ
芽吹き山登る男と愛犬と
春の旅自分にカメラ向けてをり
紙雛に切れ長の目のありにける
芦刈りて渡船場の跡露にす
春光を封印したる砂時計
地に落ちて一枚の舌チュウリップ
桜草朝は日陰となるところ
賑やかな手話満開の桜かな