みのる俳句集 14

老人のにほひはやさし菊の酒
排便のすこやかにして子規忌かな
放蕩に無縁の人の濁酒
梟の置物の守る夜長かな
玄冬の仏吐きつつ空也像

群交叉してユリカモメユリカモメ
葱買ひてをり咽喉弱き男かな
髭袋送りたしタリバン兵士にも
杉山は雨に濡れつつ七五三
白鳥の天照大神となり

漣を口に含みて白鳥は
着膨れが着膨れを抱き下ろすかな
目で撫でてをり眠りたる里山を
視界一切根本大塔春霰
雪煙を巻き上げてゐる裳層かな

マスクして目の大人びていたるかな
出家遁世枯れ葦の茫々と