みのる俳句集 15

顎の皮ややにたるみて寒明くる
墓山の裏は残雪橇遊び
如月の金色の螺子落ちてゐる
猿顔の子や愛しふきのたうもまた
熱血はやや煩はし水温む

浅春の景のひとつに太陽も
雛乗せて水に回転生まれたる
春風のはるかより来て蒙古斑
躑躅隠れにサックスの聞こゆるよ
水中の石に立ちをり残り鴨

若布刈赤土の道戻り来る
旗竿は一本の竹浜日永
黄金週間サッカーゴール倒し置く
初夏のテトラポツトの乾きやう
夏の潮遊覧船に人魚像
塩の結晶手すりに擦る夏の航