みのる俳句集 16

憲法記念日島の子は走る走る
めいめいが手に棒きれを子供の日
夏の浜背後に火力発電所
桐の花いちにち沖の曇りたる
浜昼顔潜みしものの触角が

夏潮のわつと一等三角点
名のりにも似て糶声や夏初め
夏潮や塊として伊良子崎
京大演習林二日目の青嵐
岩に身を隠せと手振り山女釣

沖へ沖へ船の舳先も飛魚も
飛魚や常緑広葉樹林の島
ビール一本卓上にあり遺言書
青蛙瞑れる身の水の色
某俳誌編集長の三尺寝

なめし皮重ね置きして栗の花
水に薄膜六月の用水路