みのる俳句集 18

蒲公英のわたの真中に起爆剤
花溶けて幹黒々とさくらかな
芽吹き山墓の鉄扉に名刺入れ
盆栽のブナも芽吹きを迎えけり
三十三間堂一巡りして日永し

夏近き奈良の小川に靴落とし
新緑のもと寝袋の中に人
競べ馬明日に控えし日射しかな
黄金週間一匹の犬と釣り竿と
鴨川に罌粟の花咲く中洲かな

緑さす水の中有に鯉の群
風光る馬の匂ひの藤の森
新緑の深部陰部と誤記しては
ほろ酔いの一団紫陽花園巡り
初夏の露非常口開きしまま

雀来て穂麦の上を渡りけり
中庭は玻璃窓囲ひ藤青葉