みのる俳句集 20
 「火祭 1」

鞍馬の火祭鞍馬線立ち詰めに
火祭や三和土に靴のぎつしりと
鞍馬祭敷居跨ぎて卓置かれ
壁に巡らせ火祭の式次第
火祭の客入れ替はり立ち替はり

腰高に結ぶ締め込み鞍馬祭
火祭の次第に無口なる男
紅き繻子身に纏ひ立ち火祭へ
火祭の客着替へたる割烹着
狭き厨に女衆鞍馬祭

神人として火祭の火に仕へ
火祭の天に蟠竜なす煙
幾筋の煙に火の粉鞍馬祭
火祭の火なり柏手にて祝ぎぬ
肩軋みたる火祭の大松明

火の粉踏みては火祭の男衆
火祭の火珠垂れつつ男の背
火祭や猛き火勢に水を打つ
火祭の煙のしるき山の闇
一村を煙籠めなし鞍馬祭

大股に火祭を来るロシア人
火祭とおらびて東都よりの客
松明の熱波が顔に鞍馬祭
火祭の松明廻し焔廻し
垂れ落ちて地に燃ゆる火や鞍馬祭