みのる俳句集 21
 「火祭 2」

垂れ落ちて地に燃ゆる火や鞍馬祭
群衆を火祭の火が撃ち煽る
人々に吾も火祭の声を和す
さいれいと呼ばひさいりよと火祭は
面々の頬は火の色鞍馬祭

火祭に熱り鎮めの発泡酒
火祭や闇に迫りて四方の尾根
火祭の空横切れるものや何
鞍馬祭闇に透けたる杉の真穂
火祭や廻し飲みして茶碗酒

松明が来臨を待つ鞍馬祭
仁王立ちして火祭の男衆
石段を火襖となすや火祭
前傾し火祭の神輿現るる
靱大明神祭降臨の刻や今

鞍馬の火祭街道を巡行路
家裏の闇は清流鞍馬祭
ゆるゆると火祭の太鼓打つ女
火祭の太鼓の音に即き歩む
鞍馬祭神輿過ぎたる懈怠かな

頻闇を山の雨来る火祭は
火祭や納めの雨が御旅処に
火祭を終えて京大受験生
火祭の煙に痛めたる眼
防寒衣の一所溶けをり鞍馬祭
火祭を昨日に誕生祝かな