みのる俳句集 23
「春色T」
立春や道の辺に祝ぐ神の岩
水漬く葦黒々として寒明くる
雨やがて春の雪へと伯備線
ほつれ毛を軽く押さへて春シヨール
料峭の風音清和山陵の
浅春の波板屋根に潰れ柚子
電光文字闇に断ち切れ冴返る
三寒の史跡に入るを禁じをり
頬に手を触れをり残る寒さかな
星図見る真昼の紅梅見しゆゑに
白梅の老木咲けり柚子畑
紅梅に白梅の枝の差し入りぬ
春なれや北からの風受けつつも
春浅き水琴窟に屈みをり
まんなかに縄文の炉や丘芽吹く
春一番の膨らませたるごみ袋
渡河の石に亀や千鳥や入り彼岸
彼岸から此岸に届く春入日
春雨の最も濡らすトタン屋根
いさざ捕り一人が立ちて放尿す
入れ替はり桃花の精となり撮す
海からの波に乱れて春の鴨
漣をうねりに刻み春疾風
芝青みたり点々と家族連れ
遠霞大和まほろば垣間見に