みのる俳句集 24

 「春色U」

石に石打ち当て春の遊びせむ
微醺にて荒神橋に残る鴨
付箋紙にとりどりの色春灯下
特急の引つ張つて行く花の闇
けらけらと子供の笑ふ夜の桜

桜満開曇天も桜色
桜囲ひや京都簡易裁判所
ご自慢の犬を見せ合ふ桜かな
花筏より小魚を銜え出す
水面をレフ板として八重桜

うららけし腹から笑ふ太郎冠者
快食快眠快便まこと四月馬鹿
水門に水の厚みや四月来る
六角の煉瓦煙突花菜畑
流れ去る水の記憶に仔猫かな

写真ものせり芥子菜の群生地
宇治川を鶯の声渡りけり
春の雲舟窪といふ山の窪
めまとひの一つを呑んでしまひけり
花片落ち房(ばう)の丸見えチユウリツプ

春の川流れシタール弾きやめよ
永日や喫煙席に落ち着かず
春満月住み処は昔伏見市と
山峡を遊船下る花馬酔木
永き日や大観覧車ひとまはり