みのる俳句集4

立春を過ぎし手の先足の先
初蝶のアルミポールに来て止まる
雨ときに雪駅弁に春野菜
黒龍が天井統べる寒戻り
雛守りて硝子ケースも古びけり

次々と橋の吐き出す花筏
蒲公英の絮の真中に起爆剤
透過光なす春日影ビスタカー
首失せて蹲踞崩さず竹の秋
直進の後の回転耕耘機

水無瀬駅頭葭焼の煤が降る
日迎の手足ぶらぶらして歩く
緋衣の人の来てゐる花御堂
初夏の露非常口開きしまま
薫風を招く白猫籤売場

新緑を抜け岩稜の黒光り
新緑も舞台のひとつ映画村
車窓はも雨のだんだら麦の秋
鉄骨を梅雨の天蓋京都駅
紙袋より縞透けて蛇の衣

青年にロールシヤツハの汗の染み
万緑叢中一枚のポスターが
朝曇空を叩きて鳩の群
昔男の狩衣の背や夕蛍
捩花や慶弔多き一句集