みのる俳句集7
残雪を陽刻となす北壁は
春闌けて制服の背のてかりかな
春宵一刻集ひて手作り餃子蒸す
トイレツトペーパーするする五月来る
聖五月テーブルに家族分の椅子
城壁を浮かせ新緑沸き立ちぬ
城五月突然男仁王立
黄金週間犬に新しき芸ひとつ
むくりむくりと新緑が渓侵す
万緑の尽きるところを海と呼ぶ
「梨」
梨の芯大好き幼少の砌(みぎり)より
縦に断ち種に及べり梨一顆
雑誌積み上げ梨置く遊びかな
梨剥きつキリマンジヤロの融雪など
皿に汁同居人と梨分かちては
「発句集より」
さみどりの茶団子香る山吹や
望月を憂しと優(やさ)しと大八洲
ほととぎす机上に離宮平面図
霜月の島の頭上に渡海橋
老犬の病みて添い寝の夜寒かな