着重ねて夕日のナイル帆走す 吉村千津子 | 追剥の追善塔婆風花す 川勝 好女 |
先に寝し夫に来やうぞ雪女 神原 広子 | 犬小屋に少しもたれて雪だるま 曽根 はる |
入院す鴨来し池を見てののち 辻 滋子 | 厠へと母の雪掻く暁けの音 林美智子 |
急停車して雪落すトラック便 伊藤晶子 | 老僧の掌に絆創膏冬座敷 片岡寿美子 |
酒粕を焼けば幼き日の家居 佐々木志う | 冬ざれやパン屋はパンを売りつくす 佐名木京子 |
ストーブに犬もよりきて小家族 谷村 綾子 | 二つ切四つ切冬至かぼちや売り 人見 洋子 |
煤逃げの夫の行く先推測す 平井 泰子 | 斉米や寺の焚火のゆたかなる 森 初代 |
病む松も塔も吹雪の法隆寺 和田真利子 | 犬の椀の底もて叩く厚氷 松浦 恵子 |