もぐさ屋に声かけらるる初大師 神原 廣子 | 滝守の練炭の灰捨てに来し 矢田部美幸 |
蹴上げたる鞠へ声してゆりかもめ 辻 滋子 | しやつくりの児と相席のバスうらら 向井富美子 |
むしタオル愛馬きよめて卒業す 大屋 久子 | 神殿に忘れ傘あり追儺あと 奥村木久枝 |
警官の非番嬰抱く小春かな 奥村 文子 | 翼灯をひとつ引き寄せ冬星座 川勝 好女 |
舶来のシヤボンの匂ふ初風呂よ 佐名木京子 | 校長が凍道に待つ持久走 曽根 はる |
鳩サブレー好きな家族や山笑ふ 高山 邦夫 | 聞き返すこと増えし母初電話 野村 映子 |
雪を来て雪忘じをりアンコール 林 節代 | 初がすみ島の架橋のすすむ音 林 美智子 |
股火して錦はづれの飾売 松田 うた | はぐれ鴨ときに汽艇の水尾にのり 山添 涼子 |
日迎へのわけても二見が浦にかな 山本 康夫 | 初弘法金の成る木に人だかり 栗山 常子 |
法螺貝を吹きて淑気の行者講 奥村 和子 | タクシーを待ちあぐねをり雪しまく 岡崎 鶴子 |
永き日やあれこれ修繕すべきあり 岡村 美江 | 白梅の下道しるく犬ひるむ 生澤 漾子 |