| 湖中句碑水位定まり残る鴨 大屋 久子 | 初蝶や日和続きの雨戸繰る 小谷 良枝 |
| トラクターに妻乗せ帰る麦の秋 金山藤之助 | 竹秋や狐住むてふ藪のぞく 菅江 玲子 |
| ひとり居の門はやとづる桜冷 谷村 綾子 | 換気扇みがき若葉の風通す 西田志津子 |
| 卒業子轆轤離るる手を洗ふ 人見 洋子 | 花に来て哲学の道選びけり 平井 泰子 |
| 緑さす鬼の館にわらべ唄 細井 玲子 | 窓開けて介護教室風薫る 堀 千寿江 |
| 老いてなほ肩書のふゆ花疲れ 前林イトエ | 子猫ゐて急停車する縄電車 安井 久 |
| 捨て犬につきまとはれて桃の花 山本 清子 | 女生徒の下校の顔や燕来る 渡辺 公子 |
| 旅行生雨を避けゐし桜餅 山田 静子 | 鬼退治の唄のとぎれし山笑ふ 向井富美子 |
| 網繕い見て覚えろと春の浜 水野美代子 | 自転車の顔へまともに花ふぶき 林 美智子 |
| 花筵川へ拂ひて巻きにけり 林 節代 | 寺屋根に落ちし暮春のブーメラン 高山 邦夫 |
| 雲切りの雲雀となりし草野球 川勝 好女 | 春田まで赴任挨拶駐在さん 奥村 文子 |