出入りして鶏小屋の青簾 奥川正子 | 雨上がる田植見舞の魚提げ 小谷良枝 |
初河鹿女神は今も岩戸陰 川端久子 | 夏川も橋も小さし稚魚流る 塚田正子 |
挙手の声響く日盛り参観日 長尾典子 | 教科書に鬼の伝説みどり差す 西田志津子 |
緑さす鬼の館にわらべ歌 細井玲子 | 藷を挿す機場の灯りとどきゐて 堀千寿江 |
練供養用意の掛橋くぐりけり 吉村千津子 | 女生徒の下校の顔や燕来る 渡辺公子 |
お隣の板戸の軋む走梅雨 渡辺真利子 | 山吹のまぶしく蝶を見失ふ 浅田の婦代 |
万緑や棟上げの香の立ちのぼる 糸井光子 | ミモザ咲く大教会は丘の上 岩田房江 |
囀や耳鼻科医院のアンテナに 梅木篤 | 燦然と夏潮のなか日本丸 工藤睦子 |
滝千丈直線落下目も眩む 沢田宗四郎 | オルゴール名曲喫茶に夏兆す 田中志づ |
パスポート再申請す立夏かな 田中房子 | 年々に新茶を贈る友有りき 谷口万亀代 |
薫風の道尋ねらる線路越し 塚越淳子 | 甚平鮫の雌雄睦まじ夏館 湊妙子 |