地下道に絵馬落ちてゐる二日かな 松田 うた | 宵戎舞子あめ玉買ひてをりぬ 岡村 美江 |
獣園に着ぶくれ霊長目ヒト科 神原 広子 | 野施行のぜんざいひっくり返りゐし 矢田部美幸 |
ストールを駒子のやうに旅の夜 新井比佐代 | 百葉箱に鳩の来てをり寒日和 山上登美子 |
初鴉ふわりと降りて相向ふ 伊藤晶子 | 降る雪にゆらりとピザの配達車 向井富美子 |
年惜しむ看取りの灯小さくして 山添 涼子 | 掃初やあいさつの声よく通り 伊藤 晶子 |
母の櫛使ひて年を惜しみをり 小谷 良枝 | 甲冑に眼鏡の光る秋祭 川端 久子 |
焼芋屋奈良大仏の御前に 佐名木京子 | 見送りの教え子も入れ初写真 塚越 淳子 |
初夢に柱は煙まといゐし 長尾 典子 | 浴剤の色みどりなる初湯かな 浅田の婦代 |
ジャケットの襟マネキンに立ててあり 安井 久 | 積み上げし畳の上に恋の猫 杉田 恭一 |
正面に雪の御嶽汽車曲る 林 節代 | 鹿影と見しは落葉の降る音す 林田 千代 |