『参』「参燦」集より 3

『参』には佳品集としての「参燦」集があります。今回はそこからの作品を紹介してみたいと思います。
 
地下道に絵馬落ちてゐる二日かな  松田 うた 宵戎舞子あめ玉買ひてをりぬ    岡村 美江
獣園に着ぶくれ霊長目ヒト科    神原 広子 野施行のぜんざいひっくり返りゐし 矢田部美幸
ストールを駒子のやうに旅の夜   新井比佐代 百葉箱に鳩の来てをり寒日和    山上登美子
初鴉ふわりと降りて相向ふ     伊藤晶子 降る雪にゆらりとピザの配達車   向井富美子
年惜しむ看取りの灯小さくして   山添 涼子 掃初やあいさつの声よく通り    伊藤 晶子
母の櫛使ひて年を惜しみをり    小谷 良枝 甲冑に眼鏡の光る秋祭       川端 久子
焼芋屋奈良大仏の御前に      佐名木京子 見送りの教え子も入れ初写真    塚越 淳子
初夢に柱は煙まといゐし      長尾 典子 浴剤の色みどりなる初湯かな    浅田の婦代
ジャケットの襟マネキンに立ててあり 安井 久 積み上げし畳の上に恋の猫     杉田 恭一
正面に雪の御嶽汽車曲る      林  節代 鹿影と見しは落葉の降る音す    林田 千代