『参』作品集より 5


 
海苔掻きに倦みて仰ぎし飛行雲   水野美代子 買い物の袋の重し春の虹      山田 静子
目借り時くの字逆さの子の手紙   山田 順子 忘れてはならぬときめき犬ふぐり  山本 清子
蕗の薹きわだつ頃の風強く     飯島喜代子 春の虹尾張にもある富士小さき   伊藤 京子
新聞を開けしままの春ごたつ    伊吹ぬい子 春分の日やゆつくりと煙草吸ふ   太田  稔
本殿の神鏡曇る春の塵       杉田 恭一 校庭に干すユニホーム春の風    田中 幸子
春めくと抱けば匂ひてグラビア誌  田原 きぬ コンタクトレンズを落す春の道   佐々木志う