特選 |
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草刈りのひとりは葦の束ね役 職退きて焚火育ててをられけり 茶立虫笑はす人のゐて笑ふ |
矢田部美幸 小松生長 渡辺真利子 |
秀逸 |
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何となく過ぎてひとりの松の内 年用意洗車に余念なかりけり 廻転椅子くるりと医師の大マスク 蛇の衣大きくまたぎ国分寺 もの言へば目の笑ひたるマスクかな まんじゆしゃげづかづか畦をカメラマン 暖房のコード這ひをり客の前 除雪車を見に行くための雪を掻く 雪上に猪のがしたる跡のあり |
糸井光子 伊藤晶子 奥村文子 寺嶋艶子 林美智子 細井玲子 森初代 森初代 吉村千津子 |
入選 |
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汗の顔袋小路に突当る 文化の日もろ膝つきて畳ふく 亡き母に似しまなざしのひいなさま 春隣少し恋めく待ち合はせ 編みゐたる毛糸の足らずなりにけり 禅苑の松亭々と冬ふかし ひとつ家に子は子の所帯雑煮餅 鴨の陣北前船のなごり浜 金魚田の金魚死にをり寒に入る 冬きのこ役に立とうが立とまいが 重ね着てさらに弱気な父となる 月天心あとは余白でありにけり 京都よりさげて帰りしかぶらかな 雪霏々と霏々と日暮れの道遠し 香たいてをり人日の美容院 積み上げし雑誌かたむく年の暮 犬のリボン少女のリボン秋桜 シンフォニーの英雄果てし雪の夜 曳き初めの三基出会へり鉾の辻 初釜や湯気の向ふの幼客 急ぎ来て獣のごとく白息す 狐罠掛く吹き降りの中を来て もがり笛かばつてくれる夫はなく 下校児の道くさ日脚伸びにけり 受験子の先づは文殊の智慧詣 |
井上嘉津子 小川澄子 小野正子 岡崎鶴子 岡村美江 岡本昌子 奥村木久枝 金山藤之助 金山藤之助 神原廣子 清水貴久彦 杉田恭一 田中房子 谷口万亀代 西田志津子 林美智子 橋本孝子 坂東愛子 松田うた 湊妙子 村岡紀美江 矢田部美幸 山川宗美 山本清子 山本康夫 |
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