特選 |
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追儺鬼屈伸運動してゐたり 垣ごしに渡す入学祝かな ジーパンの破れを誇り文化祭 |
伊藤晶子 神原廣子 安井 久 |
秀逸 |
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これよりは産科病棟犬ふぐり お日柄の良くて地虫の穴を出づ 北窓を開けて喪の足袋干しにけり 指揮棒を引き継ぎ終へて卒業す 元日や幸ある人に会ひて吉 木々エンタシスなしたる下に春の鹿 万愚節残り僅かの歯を抜かれ 蓮枯れて水は力を抜きにけり 獣園に霞吐き出す河馬の口 七人の敵にも寒の見舞ひ状 |
石倉信乃 伊藤晶子 小川澄子 片山寿美子 河田喜代子 鈴木 稔 遠見冨美子 西田志津子 松田うた 宮川一郎 |
入選 |
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立春の水でビタミン剤を飲む 戦争がやつて来るらしいぬふぐり 冬帽を丸めて商談農機展 背伸びして見てもやつぱり春霞 追儺の矢報道陣の方へ飛ぶ 夏果の熱き番茶をのみにけり 冬のばら癌とは書かずがんと書く ゼフュロスの大地抱くや草萌ゆる 三男の学級閉鎖大朝寝 座禅草客に長靴用意して 余寒なほ肩凝らし見る「椿姫」 かすがいといふ貝さがす夏の果 淡雪や若き人乗る人力車 チェリストの白き項や春暖炉 枯るる中犬枯色に疾走す オフェリアの嘆きの色の犬ふぐり 亀の甲見て口乾く薄暑かな 大焚火恵方へ倒し燃えたたす 明月の影を掬ひて離陸せり 退院を告ぐる触診あたたかし 雪みちに筵を伸べて柩出づ 辻に来て車輪ぐらつく西日中 目薬に目玉うごかす七日かな つぶやきの如く小文字の賀状来る 豆打つて少しの福を待ちゐたり |
岩本菊江 浦野とし子 奥村文子 川勝好女 神原廣子 喜治蓉子 権藤榕子 篠原紀代子 菅江玲子 同 田中房子 寺嶋艶子 内藤節子 仲 敏子 西田志津子 橋村静恵 林美智子 人見洋子 平田博子 藤井宏康 前林イトヱ 松浦恵子 松田うた 森 初代 山田静子 |
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