みのる俳句集 『遊歩』6
児童公園冬枯を免れず
暁暗の西方阪神震災忌
冬草にそつと影置く二人かな
嫌な目で人な眺めそ冬田人
凍て厳し人一枚の紙のごとし
天照大神なり白鳥は
骨片のごとき雲浮く二月かな
月光が削る氷柱や菅平
テイシユ一枚ほどの雪持東山
猟犬の足裏の肉柔らかく
立春の雲ほぐれつつ輝けり
白梅の降臨の香と言ひつべく
山道は斎場の道初音道
珪石のつやの消しゴム大試験
猿顔の子の愛しきやしふきのたう
しろうお獲る仕掛の棒を砂に刺し
点描の景桃の白桃の紅
春宵はどこかに父のひほふかな
片足の鳩立たしめて草青む
復刻の「寶船」読む暖けし
雛乗せて水に回転生まれたる
ひなの菓子小分けに食みて媼かな
袖垣を目隠しとして雛の宿
雪隠の春湿りせる落し紙
腹中の虫の一声四月馬鹿