參の人々(その1、湊 妙子さん)
椋大樹芽吹く御苑や鳩の百
草萌えの御土居に近き停留所
女子ばれー朝のコートに黄砂降る
里宮の池の薄氷鳥の声
春日野に陽はかたむきて孕み鹿
うららびや三たび拝する和上像
蝙蝠や渡しに灯影ゆるる刻
公園に小猿連れ来る花見客
花の中日米宣言世紀末
御影堂に椅子数千や蓮如の忌
土用波子の砂山を崩しゆく
浜の子は犬も連れ来て泳ぎをり
甚平鮫の雌雄睦まじ夏館
水五訓かかげて住めり合歓の花
星滴てふ花咲きて月育つ
渡米の子まさに良夜の雲に乗り
ロケ終わり池畔に閨の月を待ち
故郷に似し山道や木の実落つ
明月へ飛行雲のぶ子の乗りし
獣園に猿見て飽かず日の短か
薄紅葉化粧の間ある武家屋敷
腕組てリフトにふたり草の花
壬生寺の松に影曳く良夜かな
月白に将軍塚の灯の淡し
石組の奇岩身に入む奥の院
義経の背くらべ石に小鳥来る
小雪降る馬柵に仔馬の草欲りて
八幡宮に神馬嘶く紅葉晴
千体佛の秋を灯して浮御堂
家移りの積荷に日射す冬至晴
会(參の会の句会の一つ「丹の会」のことです)のお母さん的存在、さすが年の功人生経験豊富で何事にも蘊蓄が深い。今尚旦那さまの面影を胸にしっとりとした令婦人。
このページは、上記「丹の会」の合同句集を元とし、掲載句60句から前半30句を紹介しています。