岩城久治 新句集『冬焉』より (4)
をんじきとはいせつをこそ生身魂
季語は「生身魂」で秋。父母や年長者を敬う表現。間違っても、寝たきりのご老人の日々の姿を詠っているわけではないと思う。それは、「生身魂」という季語の持つめでたさによる。健やかな食事と排泄とは楽しく生きることの基本。この一句は、生きることを言祝ぐ句、と言って良いと思う。